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新型コロナウイルスと社会・確率について

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こんにちは、蕨です。みなさん、今年はちっとも嬉しくないGWでしょうか。少し社会について考えたことを記しておくので、ぜひみなさん考えてみてください。




 最近話題のPCR検査では、真陽性、真陰性、偽陽性、偽陰性という判定結果があるそうです。これは高校数学Aで習う条件付き確率の話になりますが、「陽性」という検査結果は、必ずしも正しくないということですし、さらにいえば「陰性」という結果もまた同じです。陽性という検査結果でも、本当は感染していない人もいるし、感染していないのに陽性となる人もいる。逆もまた然り。

 アメリカでは、30年前にはエイズウイルス検査でのこの確率的な問題について議論がなされていたそうです。そして、「偽陽性」の人を極力減らすために、検査数を絞るという対応がとられたそうです。(「感染している」ということが、差別にもつながるからです。エイズについても調べてみてくださいね。正しい知識を増やしましょう。)30年というと、携帯電話も登場する前です。そんなにも前、数学的に社会のことを考えた人間がいて、社会的に合意することができていたのは素晴らしいことですね。




 PCR検査を闇雲に行わない、ということには、そういった社会的な差別、逆に「陰性という結果だから大丈夫」という、ひょっとしたら間違いかもしれない安心感を与えないという意味もあるのでしょう。(偽陰性の人は、大きくウイルスをまき散らす可能性が高いですから。)

 おそらく、国の偉い人たちや医療に従事している人たちはこういうことを理解して活動していますし、(「医者」という職業に、いかに高い能力が必要かということを考えさせてくれますね。)確定的でないデータほど、人の判断を悩ませるものはありません。それでも、”正しい”と思える行動を取り続ける人たちに対して、”意見”を伝え議論することはよくても、蚊帳の外から”否定”だけをするのは、少しひどいように僕は思います。(もちろん、非難されるべきこともあるとは思いますけどね。)




 また、これは中1数学、中3数学の授業内容で僕がよく話すことですが、社会にあふれるデータには誤った情報を与えるデータも多く存在します。

 今回、上のことを踏まえると、「陽性者数」のデータは「感染者数」と言ってはよくないことがわかると思います。(もちろん、真の感染者数はいつまでもわからなくなってしまうので、このデータには大いに意味はあります。)

 今回のことは置いておいて、世の中には意図的に騙そうとしてデータを出してくる人もいれば、悪気なく間違えている人もいます。騙されない能力は、自分で磨き上げるしかありません。




 少し、数学を勉強するモチベーションも湧いたでしょうか。笑 このような疫学の中にも、数字を考えるべきことは多く存在します。「数学は、大人になったら使わない」と言ったことのある人は、ぜひ社会のいろいろなことに思いを馳せてみましょう。




*ちょっと調べたところだと、インフルエンザ検査は陽性適中率60%ほどというデータもあるようです。割りと外れるんですかね、あれ…痛いのに。

*高校生のみなさんは、ぜひとも条件付き確率の意味を考えてみてくださいね。

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